マーケティングデザインのイメージ画像
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当社グループの対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症によって加速したデジタル化は多くの業界に影響を与え、顧客情報のほか製造過程のデータ化によって生産性向上に取り組む企業や、デジタル技術を活用したサービス内容の検討からビジネスモデルの転換に取り組む企業が増え、デジタル化によって既存事業の見直しを図り、新しい価値を顧客に提供する動きが活発となってまいりました。
2022年の国内広告業界の売上高は、物価や仕入価格の高騰による影響が、各企業の広告出稿に対する姿勢に慎重さをもたらし、5兆6,687億円(前年比98.9%)となりましたが、インターネット広告費につきましては、1兆4,369億円(前年比104.7%)の売上高となり(特定サービス産業動態統計調査、経済産業省)、コロナ禍で急速に拡大した各業界のデジタルシフトを背景に、動画広告需要の高まりやデジタルプロモーションの拡大によって、好調な伸びを維持しました。このような中、過去、主流であったマス媒体を中心としたコミュニケーション活動は、デジタル化の進展や働き方改革に伴うワークスタイルの変化によって激変し、各企業はデジタル技術やデジタルツールを駆使し、商品・サービスを提供するだけではなく、SNSなどを利用したコミュニケーション活動を取り入れ、消費者との関係を緊密化するようになりました。
また、当社グループが事業を営むローカルエリアにおきましては、少子高齢化や労働力不足など解決すべき課題が数多く存在しておりますが、こうした課題に取り組むことは旧来のビジネスモデルとは違った「新たな企業価値」の創出を可能とします。そして、こうした課題を素早く捉え、的確に適応していくためには、発想の転換や迅速な経営判断が重要であると考えております。
このようなデジタル化や少子高齢化で社会が大きく変化する時代にあっては、お客さまは経営全般の課題解決策を求めるようになり、お客さまの経営課題全般の解決に役立つ提案をすることが顧客第一の精神となります。また、お客さまは単に良いクリエイティブを提供するだけでは評価しなくなり、新しい商品やサービスを生み出す力を重視するようになると考えられます。
そこで、当社グループにおきましては、「お客さまが達成したい目標を設計し実現するパートナーになること」を今後の当社グループの在り方と定義し、これを『マーケティングデザイン』と称して日々の営業活動の基本概念としております。そして、変化の激しい経営環境を乗り越えていくためには、「既存事業の収益改善」と「新しい事業領域の開発」に取り組むことが不可欠であると考えております。さらに、私たちの提供するサービスは行政や地域に対しても広がります。地域課題から社会的価値を構想し、実現させていくことも当社グループの活動領域であると捉え、企業理念が示すように、「顧客課題を提案活動によって解決し、地域の皆様とともに豊かな文化を育て、社会をより楽しく、より美しく、より豊かにすること」が当社グループの使命であると考えており、これらの実現に向け、当社グループにおきましては、以下の課題に取り組んでまいります。

① デジタル領域への挑戦

2022年の国内広告業界のインターネット広告売上高は1兆4,369億円(前年比4.7%増)となり(特定サービス産業動態統計調査、経済産業省)、当社グループ商勢圏におきましても、各企業におけるマーケティング活動のデジタル領域へのシフトが加速したこともあって、当社グループのデジタル領域の売上高は引き続き前年を上回る結果となりました。
このような中で、当社グループは、デジタル領域全般の受注拡大をより加速させるため、2022年4月1日付でデジタルデザイン局を設置し、デジタルマーケティング分野の提案強化やデジタル技術を活かした新規事業の企画提案に取り組んでまいりました。2023年3月期におきましては、こうした取り組みから、デジタルマーケティング分野の受注を安定して獲得でき、さらに、行政自治体向け観光マーケティング支援サービスの提供のほか、実店舗とECサイトの情報を統合して顧客管理の効率化を促進するパッケージのリリースなどに繋がりました。また、当社におきましては、デジタル化の波に遅れを取ることなく、着実にDXを推進していくため、2023年1月1日付で経済産業省が定めるDX認定制度に基づいた「DX認定事業者」の認定を取得いたしました。当社グループにおきましては、引き続き、デジタル化によるコミュニケーション活動の変化に対応した提案に努め、お客さまの成長に貢献できる真のパートナーを目指してまいります。

② 新規事業への挑戦

当社グループは、地域密着主義で培ったきめ細かな対応と、四国中国エリアに福岡、東京を加えた拠点ネットワーク、70年の実績に基づくノウハウによってお客さまの様々なニーズに応え、時代に即した提案活動によって、より質の高いコミュニケーション効果の創造に努めてまいりました。しかしながら、前述したような広告業界を含めた社会全体の転換期にあっては、急速な変化に対応したマーケティング戦略の立案が求められております。
前述したように、当社グループにおきましては、変化の激しい経営環境を乗り越えていくためには、「新しい事業領域の開発」に取り組むことが不可欠であると考えており、2023年3月期におきましては、新しい事業への取り組みの一環として、地域の魅力ある産品やサービスをECサイトなどで紹介し販売していくことを目的として、2022年12月1日付で株式会社MD&アソシエイツを設立し、ECサイト「LOCOMERU(ロコメル)」を2023年2月11日にオープンいたしました。そのほか、地元コンテンツを意識したビジネスや視覚学習教材の販売支援など新たなビジネスにも挑戦しており、今後につきましても、グループ内に蓄積された地域情報のほか、地元に密着した広告会社としてのノウハウを最大限に活用し、商品開発、観光資源のブランディング、地域産品の販路拡大などに取り組み、当社グループ自身が価値を生み出せる新規事業の創出に取り組んでまいります。

③ クリエイティブスタッフの高付加価値化

お客さまが私たち広告会社に期待することにクリエイティブ力があります。素晴らしいクリエイティブワークは後世に残り、新しい顧客の開拓に繋がります。また、マーケティングに基づくクリエイティブもあれば、イノベーションを目指すクリエイティブもあります。お客さまにとって最適なコミュニケーションサービスを提供するためには、お客さまの課題を発見でき、解決すべき方向性を仮設でき、これらに基づくお客さまの価値を高めるサービスの提供が必要になります。つまり、デザインする力、素晴らしいコピーを生みだせる力、的確にマーケティングできる力などの専門的な能力だけではなく、最終的にはこうした力を兼ね備えた総合力が必要になります。
当社グループにおきましては、「無から有を生み出す」というクリエイティビティの原点に立ち戻り、新しいものを生み出す「創造力」や独自の発想で何かを作り出す「独創力」を兼ね備えた人材を育成すべく、クリエイティブスタッフの高付加価値化に取り組んでおり、2023年3月期におきましては、SNSによる情報発信事業やデジタルスタンプラリーのようなデジタル技術を活用したものからSDGsへの取り組みや自然食材のブランディングに至るまで、数多くの個性豊かなクオリティの高い作品を創出することができました。今後におきましても、クリエイティブスタッフの高付加価値化から「既存事業の収益改善」に取り組んでまいります。

④ 課題解決型営業の推進

当社グループは、四国エリア(香川・愛媛・徳島・高知)、中国エリア(岡山・広島)、福岡・東京に拠点を配し、多様化するお客さまの要望にお応えし、質の高いコミュニケーションサービスの提供に努めてまいりました。デジタル化へのシフトが加速している中にあっては、当社グループ商勢圏におきましても、デジタル技術が非接触・非対面の手段を提供し、デジタル化できることはデジタル化されていく一方で、デジタルには替えられないリアルの価値が再認識されていくと考えております。特に、訪日客増加への期待感が高まっている観光分野においては、体験型といったリアルの価値が見直されると考えております。
当社グループにおきましては、このようなリアルの価値にデジタル技術を融合したより具体的で高度化した提案活動に取り組み、お客さまの経営課題の解決策をお客さまとともに考える課題解決型営業を引き続き推進してまいります。

⑤ 人材への投資

当社グループの競争力の源泉は人材であり、当社グループにとって最も重要な経営資源であります。お客さまに満足いただけるコミュニケーションサービスを提供するためには、優秀な人材の確保と育成のほか、専門的な知識を持った人材の獲得も重要な経営課題であります。また、社員の「健康」や「働き方」も企業の業績や存続に関係する重要な経営課題であります。
当社グループにおきましては、事業戦略に連動した人的資本戦略を実現するため、優秀な人材の確保と育成、公正な評価、多様な働き方の尊重、心身の健康に配慮した安全衛生を重要課題として掲げ、従業員への提供価値の最大化を図り、従業員一人ひとりの個性を多様性として活かし、失敗を恐れず挑戦し続ける組織・企業風土の醸成を推進しております。

DXの取り組み

1.トップメッセージ

デジタル化の波は、我々の業界にも大きな変化を生み出し、遅れを取ることなく着実に対応しなければなりません。そこで、当社においてもDX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組みます。

当社は、業務の⾒える化・顧客理解の深化・ナレッジの共有化の3つを柱に、進めていきます。これらの取り組みで、既存の常識や枠組みを打破し業務の連携を強めて⽣産性を⾼めたり、経営データの可視化によるスピード経営や的確な意思決定を可能にするシステムの基盤整備を進めます。

社員が社内にある情報を「いつでも」「欲しいものが」「欲しい形で」得られ、定型的作業の負担を軽減して社員がより付加価値の高い業務に集中できる環境を整えます。そして⼈員の再配置を可能とし、中期経営⽅針を加速させます。

今後もお客様のよきパートナーとして進み続けるためにデジタルの力を活用して、仕事のやり方を変えたり業務を効率化するだけではなく、お客さまへの提案が幅広くなったり新しいサービスを届けるようになって当社の変化を実感してもらう。これが当社のDXの取り組み方針であり、このDXの取り組みを絶え間なく推進することで「マーケティングデザイン」の実現を図ります。

2022年9月26日
セーラー広告株式会社
代表取締役社長 村上義憲

2.DX戦略

業務効率化と顧客体験の向上を目的に、以下の3つの戦略を当社DXの柱としました。

  1. 戦略
  2. 目的
  3. 環境整備
  1. 戦略
    業務の見える化
  2. 目的
    営業や制作活動の生産性・効率性の向上や、経営情報の見える化による意思決定の迅速化を図ります
  3. 環境整備
    社内情報の統合化を図り、BIツールにより経営情報をリアルタイムで把握できるシステムを整備します。
  1. 戦略
    顧客理解の深化
  2. 目的
    最新の顧客情報や活動履歴から、部門横断的な顧客理解を深めニーズにあった提案活動を実現します
  3. 環境整備
    SFAを導入し、顧客情報と活動履歴の一元管理を行います。
  1. 戦略
    ナレッジの共有化
  2. 目的
    企画提案、クリエイティブ等の業務の成果物等を蓄積し、提案品質の向上と業務の効率化を図ります
  3. 環境整備
    企画提案やクリエイティブの成果物をストックし、適時的確に抽出できるデータベースを構築します。

DX推進体制

社内に委員会を設置

DX戦略を全社横断的に進めていくために取締役CIOの下に専門知識のあるリーダーを配置し、局ごとの社員による委員会を組織して実施する。「業務の見える化」は総務局、「顧客理解の深化」は営業局、「ナレッジの共有化」は企画制作局を中心に設置し、全社横断的な推進を図ります。

外部連携

迅速な構築のため外部の開発会社との連携を図ります。

達成度を測る指標

以下の観点から、それぞれの戦略ごとに達成度を測ります。

  • 業務の見える化/社員ごとの生産性向上、意思決定スピードアップ
  • 顧客理解の深化/顧客への最適提案の実現
  • ナレッジの共有化/企画提案のスピードアップ

サイバーセキュリティ対策

令和4年7月に外部からセキュリティ監査を実施しています。顕在化したリスクについてはセキュリティツールの導入及び社内の教育訓練等により対応していきます。今後も運用状況をモニタリング・監査を行いセキュリティリスクへの対応を進めていきます。