採用される企画書の書き方。500書いて辿り着いた究極のテンプレ
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企画書の「顔」を、意識しましょう
せっかく企画書を書いたのに通らない。本当にちゃんと読んでくれてるの?人の印象が初見で決まるように、企画書もぱっと見が大事。
もしかすると「見た目の印象」で上司がスルーしているかも。見る人はすべて初見です。採否に大きく関わる“企画書の顔”整ってますか?
500を超える企画書を書いてきた広告プランナーが、後輩プランナーにも教えてこなかった究極の書き方をお伝えします。
【目次】
■見た目=完成度。読みたくなるかはデザインで決まる
■デザインとは「飾る」のではなく、読みやすく「整える」
■ページが整う3つのポイント/書体、行間、両端揃え
■めんどくさい?いいえ!1ページ目だけでいいんです
■番外編/意外と受けがいい企画書は「縦置き」だった
point.1
見た目=完成度。読みたくなるかはデザインで決まる
プランナー1年目と15年目(つまり今)の企画書を比べてみました。書いている内容にレベルの違いはそんなにありません。
明らかに違うのは見た目です。15年書き続けた結果たどり着いたキーポイントはここでした。まずボクはパワーポイントに備わっているデザイン的な機能を一切使いません。理由は読みにくくなるからです。色も多用しません。
色をつけるならキーカラー1種までです。使うのはテキストボックスと図形だけ。図形は四角、三角、円、線だけです。
企画書で伝えたいことは基本的には”文字”で表現されます。つまり、文字の読みやすさが伝わる企画書の肝になります。
図形は文字で表すブロッグ同士の関係を分かりやすく整えるのが役割です。飾りではない。これを意識しましょう。
結果、一目瞭然ですが企画書はシンプルになります。でも完成度が高く見えますし、初見での期待感が高まることで読みたくなります。
親切であり、かつハイクオリティ。1ページ目でこの印象を生み出せるかどうか、ボクのこだわりはここにあります。ちゃんと読んでくれてるの?と疑問に思っていたとしたら、その責任の半分は書き手にある。読みたくなる1ページ目をデザインすること。それは書き手の責任であり、立案者としての腕の見せ所です。
point.2
「飾る」よりも読みやすく「整える」。コツは表と箇条書き
意識しておきたいのは決して飾らないこと。読み手に対して親切であるために読みやすく「整える」ことが欠かせません。
企画書はビジネス文書です。記事ではありません。読みやすく整えるために考えたいのは文章をどう構成するか、ということです。答えは2つ。表と箇条書きです。自分が伝えたいことがカテゴリにできることなら表にしましょう。ポイントがいくつかあるなら箇条書きにしましょう。
決してツラツラと文章を書き連ねてはいません。理由は読みにくいからです。繰り返しますが企画書はビジネス文書。新聞や雑誌のような読み物ではないため、伝えたいことが完結かつ明瞭に書かれているのが伝わる企画書だ、ということです。端的にいうと、折り返しがあるような文章の配置は極力しない、ということです。
上図の15年間の比較を紐解いていきます。1年目のは文章を書こうとしていて、折り返しが多く読む気が失せます。15年目のは同じく文章なのですが、箇条書きを多用することですべてが1行におさまっています。この方が読みやすい。レイアウトの違いもあります。箇条書きによって横1行じおさまります。ページ全体の流れは自然と上から下に読み進めるようになっています。企画書を横置きで書く場合は自ずとこうなります。
point.3
ページが整う3つのテクニック/書体、行間、両端揃え
さて、整えるためのテクニックをもう少し紐解いていきましょう。やることは多くありません。3つだけです。
まず書体
1ページ目をみた時の印象、またページを読み進めて行く時のスムーズさを考えると、基本的に使う書体は1種類が望ましいです。
強弱をつけるためには太さを変えることはあります。メッセージっぽい見出しだけを太めの明朝体にするということもあります。けれど、ベースに使う書体は1種にしましょう。最近よく目にするのはメイリオです。文字が縦に揃う等幅フォントであり確かに読みやすいですが、個人的には使うことを避けています。理由はみんなが使いすぎているためオリジナリティが感じられないため。
あと、見た目の印象が丸っこくてなんだか伝えたい気持ちが薄い気がするからです。おすすめは「NOTO SANS」です。メイリオと同じく等幅フォントで、ゴシック体です。無料でインストールできるので使ってみてください。
二つ目に行間
パワーポイントの「ホーム」のタブに横4本線のマークがあります。ここでテキストブロックの行間を決めることができます。最初は1.0になっています。これでは狭くて読みにくい。
ボクはいつも1.5に設定をしています。これだけで文章の読みやすさはぐっと高まりますのでやってみてください。
最後に両端揃え
ただし、テキストブロックの「両端揃え」機能で無理やり揃えるのではありません。それをすると文字間が揃わなくて変になります。文字サイズで合わせましょう。ページ全体のブロックの両端が揃っていることで、そのページのレイアウトが引き締まり、完成度の高い印象の良いページが完成します。
めんどくさそうに思えるかもしれませんが、文字サイズをちょこっと調整するだけでできます。両端が揃うと左右にできる空きスペースは気になりません。活きたブランクに感じられてくるはずです。
point.4
めんどくさい?いいえ!1ページ目だけでいいんです。
こんなにたくさんやることがあるの?これを何ページもやっていくのは大変じゃないか。そう感じましたか?実は全然面倒ではありません。大丈夫!心がけるのは1ページ目だけでいいんです。なぜなら1ページ目で書体、行間は設定できているので、そのブロックをコピペすれば、次のページも同じ印象で書き進められるからです。
ボクはページごとコピペして、ブロックごと上から書き直しています。そうすることで企画書全体の印象が統一され、引き締まった完成度の高い(そう見える)ものをつくることができます。1ページ目をテンプレートとする。この意識で書いていけば、あとのページではデザイン的に気を遣う必要がなく、書く内容に集中でき、結果スピードもアップします。
くよくよとページごとに見た目を整えようとしている人がよく見受けられます。思い出してください。企画書において伝えたいことの中心は“文字”で表現されます。文字ブロックの書き方がテンプレートとなっていることで、スピードと見た目品質が整っている、というわけです。
上記の両端揃え、だけはページごとに調整する必要がでてきますが、やってみると分かります。各ページを書いた後にちゃちゃっと1分くらいで整えることができます。
point.5
番外編/意外と受けがいい企画書は「縦置き」だった
企画書の大半は横置きで作られます。これはマイクロソフトの思想がそうさせています。ワードは「文書」という思想。パワーポイントは「スライド」という思想。みんながよく使うパワーポイントは、要は投影するためのプレゼン資料作りのためのソフトとして成り立っているため、いわゆる画面にあわせた横置きがデフォルトになっています。そのため、世の中に出回る、また社内に回る企画書は横置きが多くなっています。
最近はオンライン会議で共有したりすることが多いため、画面にあわせたスライドとしてはそれが正しいでしょう。でも先に書いたように企画書はビジネス文書です。出力紙を読んでもらう前提なら縦置きのタイプもおすすめしています。
いくつかメリットがあります。
①縦置きの企画書を書く人が少ないため、
自分のものが何か他とは違うんじゃないか、という印象で差別化できます。
人と違うことしてるっていう印象だけで、期待感を高めることができます。
②二つ目に「文書」である、という印象が企画書自体の完成度や
真剣さを後押ししてくれます。
周囲にあるビジネス文書を見てみてください。オフィシャルなものは、たとえチラシであっても縦です。伝えたい企画の内容にもよりますが、その企画を真剣に提案したいという勝負の場面があるなら、手に取った時にきっちりとした印象のある縦置きにしてみましょう。
③三つ目に、実は縦の方がレイアウトを整えやすい、という事実があります。
例えば1ページに掲載したい文章量が少なめだったとします。横置きだと左右が空きすぎると感じることがあります。縦置きなら下部を思い切って空けられます。
ページの中で文章が上に偏っていても、案外、違和感がなく感じられるものです。逆に横置きで右側がガランと空いていると、企画書というより「ただ文字を打ってそれっぽくしただけだね」と感じられてしまいます。
15年プランナーをやってきてつくづく思います。自分が考えた企画は宝物のように大切。企画自体が負けていたり、理にかなっていないのなら納得ができます。
でもちゃんと読んでくれていなかったり、初見の印象だけでバツを食らうとかなりのストレスを感じます。世に出ている企画よりも、埋もれていった企画の方がはるかに多いはず。自分が作った企画がちゃんと伝わって、ちゃんと評価をされていくため、ビジネスマンがスーツを着るように、企画書にもしっかりとした初見の印象を与えましょう。
やってみると案外簡単だと気づくはずです。次につくる企画書をそうすれば、この後のあなたの人生から生まれてくるものはすべていい企画書になっていきます。そしてやればやるほど整っていきます。次のヤツが勝負。ぜひお試しください。
write by
セーラー広告 企画制作局 西川 文章
プランナー/クリエイティブディレクター
地方の広告代理店でプランナーを務めて15年。行政や民間企業のプロモーション企画をプレゼンするのがライフワーク。とにかく「勝てる企画書」にこだわり続け、並みいる大手広告会社を相手にしながらコンペに勝ちまくる。